2015/02/07

ホメオパシーのセルフケアをする時に知っておいてほしいこと(インド育ちのホメオパスより)

日本でホメオパシーというとセルフケアがかなり人気なようなで!
いろんなところで「セルフケアで使ってるよー」と言ってもらえるのはうれしい
地元じゃないところでジモティーに出会うような♡

と同時に、わたしが今インドで学んでいるホメオパシーと、日本で認識されているホメオパシーに違いが(めちゃめちゃ)あることにびっくりすることもしばしば
わたしのホメオパシーに関する知識、感覚は完全にインド育ちなので。。。

わたしはまだまだ勉強中なので(生涯勉強中)、ホメオパシーの全てを知っているとはとてもとても言えないけど(一生言えない)

でも今までで学んできたことをもとにちょっと書いてみようと思う
治すためのホメオパシーがかえって苦しみを引き起こすことになっちゃったら悲しいので
父さん、しっかり読んでくださいね!

◯目次◯
1.レメディ(ホメオパシーの薬)には副作用がないからバンバン飲んでok!?
2.一度に複数のレメディを飲むことって?
3.じゃあ最低限の知識って?


1.レメディ(ホメオパシーの薬)には副作用がないからバンバン飲んでok!?


たとえば今高熱があって、下痢もしていて、吐き気もあるとする
その状態を治癒させるレメディは、約4000-5000種類ある中からたった1つ
( §118、§119、それぞれのFoot note)
そのたったひとつの薬を飲んだ場合、いわゆる副作用はない
でもそうではない薬を選んだ場合、治癒は起こらず、かえって悪化したり、今までになかった新しい症状が出ることがある

そうやって治癒を起こす薬は、”similimum(シミリマム)なもの”
シミリマムとは最も似ている/近いという意味
今現れている症状全てに、最も近い症状を起こすレメディ、これがシミリマムなレメディ
”最も”なので一種類しかない

(ここでいう”治癒”というのは、Organonの中でHahnemannが定義する『理想的な最高の治癒』のことを意味しています
『理想的な最高の治癒』とは、速やかに穏やかに永続するように健康を回復させること、または全体から病を除去し消滅させること、すなわち、はっきり理解できる原則に基づいて、最短で、最も確実で、最も無害な方法によって、患者の全体にわたり病気を取り除き根絶させることである。(§2)
というのがホメオパシーにおける理想の治癒の在り方)

シミリマムでないレメディをバンバン飲むということは、正直あまりおすすめできません

薬害や医原病という言葉があるように、不必要もしくは不適切は治療がそれなりの期間続くと心身にとって負担となります
西洋医学の医原病だけでなく、ホメオパシーの薬による医原病もあるのです(例えばホメオパシーの薬を使ったホメオパシーの理論に基づかない治療を行った場合)
その病が慢性化した場合、それは最も治療の難しいものとなる(§75)

といって恐れすぎては、ホメオパシーの薬による、速やかに穏やかに永続するような回復が起こる(§2)機会を逃してしまうことにも…

そのためには、最低限の知識をつけることが必要!

どうして日本ではこんなに「副作用がない説」が蔓延しているのかハテナだけど
そんなうまい話ってあるかなぁ
もしあったらいくらバビロンシステムといえど、きっとホメオパシーもっと有名だし、みんなとっくにセルフケアに使ってるだろうし、ていうかホメオパスもホメオパシー医もいらないし、え、そうなるとわたしがここでインド人にもみくちゃにされてる意味って…
と思うのだけれども


2.一度に複数のレメディを飲むことって?


レメディの治験をdrug proving(ドラッグプルーヴィング)といいます

被験者:健康な、性別・年齢・体質が様々な人間
一度に飲む種類:一種類
飲むポテンシー:30C

被験者がある1種類のレメディを飲んで起こった体調の変化、それまでとは違う感覚や気分、症状
これらがそのホメオパシーの薬の症状とされ、記録される
その症状の中からさらに臨床で、繰り返し複数の患者を治癒させてきた症状
これが事細かに記された本がマテリアメディカ(ホメオパシー薬辞典)
この辞典をもとに、わたしたちホメオパスはレメディを選んでいく

よってもし複数の薬を飲んだ場合、人間にどんな作用が起こるのかもしくは起こらないのかということは、今のところ文献によっては知りようがありません(経験的に知っている人はいるかもしれない)
現在世の中で入手可能なホメオパシー薬は、約4000-5000種類ほどあるので、2種類同時に飲む場合、3種類同時に飲む場合。。。その薬の組み合わせは、計算するのも嫌になるくらいの相当数あるので、この治験を行なっていくのはとても大変なことでしょう

日本で販売されているセルフケアの本は、なにかしらのマテリアメディカをもとに書かれているはずなので、同様に「1種類の薬を飲んだ場合に起こる反応」しか書かれていないはず

複数の薬を同時に飲んだ場合、わたしにはなにが起こるかわからず、それはわたしにとっては怖い状態なので、薬は1度に1種類しか飲まないようにしています
もしその1種類で治らなければ、また薬を選び直して前のとは違う1種類の薬を飲む
それで今のところ十分満足に治っているので、1度に複数飲む必要も感じないというのもあったり

またいっぺんに色々飲んじゃうと、どれが効果があったのか分からないので、その後の治療がますます暗中模索になってしまうなぁとも思います


3.じゃあ最低限の知識って?


まず症状をしっかりつかむこと(その時最も辛い、最も苦しい症状)
症状の起こっている場所(location)、その感覚(sensation)、その症状がどうすると良くなるか、悪化するか=モダリティ(modalities)、身体的or組織的に関連がないのに同時に起こるほかの症状(concomitants)(complete symptom by Boenniinghausen)
特にモダリティは薬を選ぶのにとってもわかりやすいポイントになるんじゃないかと思う

それからその症状を引き起こした原因(causation)
夜更かし、失恋、長い間冷たい風にあたった、突然冷えた、雨に濡れた、脂っこいものを食べた、海水浴、日光浴、悲しいニュースを聞いた、興奮、屈辱、怒り、悲しみ、不安、恐怖、心配、乗り物に乗ること、旅行、痒みや自然な排出物(汗、便、尿、涙、鼻水、おりもの、月経血など)の排出の抑圧、ステロイド系の薬、オピウム系の薬、抗ガン剤、麻酔薬、経口避妊薬(低容量ピルであっても)放射線治療、何度も何度もX線を浴びること、etc.

これらをもとに、マテリアメディカと見比べていく
よってそれぞれのレメディの知識も必要
日本語のホメオパシーの本に書かれているレメディの説明は、メンタル系の症状が充実していることが多いと聞きますが、メンタルの症状って自分で客観的に捉えるのってすごく難しいんじゃないかと思う
自分では「怒りっぽい」と思っていても、それを外に表現しなかった場合、周りの人からすると「あの人全然怒らないよねぇ」で、ここではこの症状は、「怒りっぽい」ではなくて「怒りを抑圧する傾向がある」と捉えた方が的を得ているだろう
健康相談をしていて「え、みんなそうじゃないんですか?」と聞かれたりするけど、人はそれぞれ本当に違う
すごく特徴的な症状かもしれないのに、自分では当たり前になり過ぎていることって多分結構ある(慢性病の治療ではこんな症状がレメディ選びのヒントになったりする→§95 "Lesser accessory symptoms")
一方、身体症状は自分のものであってもわかりやすい
体のどこの部分が熱くて冷たいのか
喉は乾く?温かいもの、冷たいもの、どっちが飲みたい?どれくらいの頻度でどれくらいの量を?
便の色、におい、回数、その前後での体調の変化etc.
なので、急性症状の場合は、これらの身体症状をもとにレメディを選んだほうが、シミリマムな可能性はupするのではないかと思います
特に重要視すべきは、『健康な時からの変化』
普段は甘いものが好きなのに、風邪を引いてからしょっぱいものが食べたくなる
そういう変化を最も重要視してレメディを選ぶといいと思います(これが俗に言う所のHahnemannianハーネマン派の処方方法)

また1つの薬で全ての症状が完璧にマッチするかというと、そんなことはなかなかないはず
なぜならマテリアメディカに記載されている症状は、いろんな人で治験されたデータの集合だから(健康であり、性別・年齢・体質いろいろな人にポーテンシー30Cのホメオパシーの薬を飲んでもらい、起こった症状のデータバンク)
人によって症状の出方はそれぞれ違うので、1人の人にそれレメディの持つ症状全てが必ずしもあてはまるわけではない
全部はカバーしてないけど、それでもその『レメディの全体像』がマッチしていること
それが理想的な治癒へと導いてくれるのだけど、それはホメオパスレベルかと思うので、
というが合っていないとは起こらない

急性症状の場合は、『レメディ毎の押さえておきたいポイント』が合っていることが効く条件だと思う
(それがどんなものか、これから勉強しながら少しずつ書いていきます)

最後に必要な知識は、どこまでセルフケアで対処できるかという限界を知っておくことだと思う
慢性病、命に関わる病はプロに相談したほうがいいはず(ホメオパシーのプロに限らず)
もしシミリマムな薬が選べても、次はポーテンシーを選ばなければいけないし、どれぐらい頻繁に飲むのか、その次はどうするのかと適切に判断を下していかなければいけないことがいっぱい
それらをクリアしても現実的に日本ではホメオパスじゃないと買えないポーテンシーもあったり

命に別状のない急性症状(外傷、捻挫、風邪、インフルエンザ、急性の下痢、急性の吐き気、食中毒など)はセルフケアで結構いけるのでは?
怪我したときなんかは大活躍だと思います!
ただ急性症状だと判断して、その症状をシミリマムではないレメディでなんとなく良くなってるようななってないようなな抑え込むような対処療法を長期間にわたってしていくと、レメディの医原病つながりかねないので要注意


難しいことをいっぱい書いたけど、 適切に使えればなかなか役に立つホメオパシー!

また世界トップレベルの名ホメオパシー医であっても、シミリマムな薬を一度で選ぶのは、毎回必ずできることではない
師匠もわたしくらいの臨床年数の時は、治癒率20%くらいで、そこからどんどん改善しているのだと
なのでシミリマムでないレメディを飲むことは、ホメオパスに相談したとしてもあるでしょう
でもホメオパスであれば、レメディ同士の相性であったり、解毒の仕方であったりを知っているので、そんなに大事にいたることはない…のかな?
インドの実力派ホメオパシー医であれば、そのへんは間違いないです!
日本はどうなのかな?

また現実問題として、
シミリマムなレメディじゃなくて、まぁまぁ似てるレメディであっても、そこそこ良くなることはある
しばしばあるはず
その時はシミリマムな薬のときのように、すこーんと治癒するのではなくて、まぁまぁ良くなってあとは自然と回復してゆくというかんじなのかな
セルフケアキットに入っているレメディはとてもとても限られたものなので、理想うんぬんはさておき現実問題としてこの中から選ばないけないという状況はきっといっぱいある
そういうときは、手持ちの中でシミリマムなものを

経験によって体得していくしかないこともあるけど、そのためにも最低限の知識はやっぱり必要だと思う
どんなにバッティングセンターでヒット連発しても、野球のルールを知らなければ実際の試合では点につながらないように
健康に関わること、命に関わることなので、最低限のルールはやっぱり抑えておくべきかと思います
ビギナーズラック止まりじゃなくて、確実な治癒を連発させるために



なんて偉そうに書いてみたけど、まずはわたしもしっかりセルフケアキットくらい使いこなせるようになりたい!
勉強がんばる!!!

てな調子で、
これからもホメオパシーをごひいきにどうぞ♡


【参考文献】
(i)Organon of medicine - Samuel Hahnemann(§◯と記されているものはこの本の中で該当する箇所)
(ii)Materia medica - Wiliam Boericke
(iii)Repertory - J.T.Kent
(iv)Keynote - B.C.Allen

P.S.インドではホメオパシーでセルフケアという概念そのものがほぼない
インドでは、法律上はホメオパシー薬は医師の処方箋なしでは買えないし、医師免許なしに処方するのは違法である

1 件のコメント:

  1. あああ このページもめちゃくちゃ興味深いです。。
    勉強になります。。

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